【リナえもん小ネタ】

「ただいま〜」
ガウ=ガウ太、立派な外見の癖に、半袖、短パンの痛い少年が、窮屈そうなランドセルを、背中から降ろした。
自分の部屋だというのに、何故か、いきなり来た、妙な同居人に、押し入れを占拠され、数ヶ月。
ガウ太の未来を憐れみ、未来からやって来たと、その同居人は言っていた。
が、実際は、その同居人によって、虐げられたり、侮辱されたり、邪険にされたり、何だか大事にされてない、と思ったりするのだが、記憶力が乏しいのが幸いして、同居人との生活を、あまり悲観していない。
トントンと、押し入れをノックし、ガウ太は、暫し待つ。
同居人に、教え込まれ、覚えたのは、これだけだ。というのが、同居人泣かせと言うべきか。物覚えの悪い彼が、どう教え込まれたのか、嘆くべきか。
「リナえもん?居ないのか?」
恐る恐る声を掛け、押し入れを開ければ、そこに、探し人は居なかった。
大量のお菓子に、布団、枕元には、日記、そして、一枚の紙切れ。
紙切れには、
〔ガウ太の出生の秘密を探って来る〕
とだけ。
「???」
何の事やら分からず、その紙切れを前に、鈍い頭を捻るガウ太。
夕飯時、帰って来た父親に、ガウ太は、階段を降りる。
「お、ただいま。ガウ太」
そこには、ガウ太の胸程にしかない身長の、ずんぐりむっくりな、純日本人顔の男が。
「パパ、“でせいのひみつ“て何だ?」
小学生の分際で、早々に声変わりを終えたガウ太。
その声は、父親のそれと、良く似ている。
が、外見は、似ても似つかない2人。この父親から、どうやったら、こんな息子が出来るのか。
そもそも、見目が良い外見で、「パパ」て何だろう。
帰って来たリナえもんに、乙女の部屋を覗いた罰で、ガウ太に悲劇が待っているのは、また別の話。