ゼルガディス=グレイワーズの気苦労 |
とうとう、オチです。 ゼルの悲劇(喜劇と読んでも可)話です。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「さ、行くわよ。」 宿の食堂で、朝食を終えて、リナはすく!とその場に立ち上がる。 「えっと・・・わりい、どこに行くんだ?」 頬を掻き、ガウリイはすまなさそうな顔をする。 「いいから!あんたは何も考えずについてくりゃいいのよ!」 「え・・・と、遠回しなプロポーズか?」 「殴るわよ?」 「・・・お見事な回し蹴りで・・・」 瞬殺し、冷徹に言ったリナを、ガウリイは床に寝転がりながら、冷や汗を流し、見る。 「・・・で、どこ行くんだ?・・・えっと、オレ、聞いてないよな?」 街道を颯爽と歩くリナの後をついて、ガウリイは自信なさそうに声を掛ける。 「ゼルの所よ。」 「何だって急に?それに、何処に居るんだ?」 「ふ・・・このあたし、天才美少女魔導士リナ・インバースにぬかりはないわ。」 「????」 問いに返ってきた言葉に、ガウリイは首を傾げる。 そして、昼頃、2人は小さな町へと辿り着いた。 「ひさしぶりねえ、ゼルにゃん」 「・・・頭でも、打ったか、リナよ。」 裏道で捕獲されたゼルは、恐い程にこやかなリナを見て、後退りをする。 「ふふふふふ、気にしないで、ウサギさん★」 「無理だ・・・旦那、この危険物、なんとかしてくれ。」 笑顔を黒くしたリナに突っ込みは危険だ、と判断したゼルは、なにやらぽーとしているガウリイに助けを求める。 「ん〜〜〜?おお!」 「まさか、俺が分からんかった、とか言うんじゃあるまい?」 ぽん!と手を打ったガウリイに、ゼルはジト目を向ける。 その視界の隅では、リナが気味悪く笑い続けている。 「なあ、ハル、いないのか?」 「・・・・・・は?」 「ハルだよ、ハル、ゼル大切そうにしてただろ?」 「いや、身に覚えがないが・・・」 にこやかに笑うガウリイに、ゼルは眉を寄せる。 「・・・珍しいわね、あんたが人の名前、覚えてるなんて?」 珍しい出来事に、リナは暗黒オーラを薄める。 「にしてもさ、ハルのどこが良かったんだ?オレにはさっぱりだったんだが。」 「俺には、あんたがさっぱりだが・・・」 「何?2人の知り合いじゃないの?」 ガウリイの言葉に首を傾げたゼルに、リナは眉をしかめる。 「へ?リナ、覚えていないのか?」 「は?覚えていないのか?て、知らないわよ、んな奴。」 「俺も知らんぞ。」 ガウリイの言葉に、リナとゼルは首を傾げる。 「だから、ハルだよ。オレが川辺で投げたら、2人して怒っただろ?」 「え・・・ゼル、覚えてる?」 「いや。それは、何時の話だ、ガウリイ。」 「おいおい、オレを2人して、魔法で吹っ飛ばしたて〜のに、忘れたのか?」 「はあ?あたしと、ゼルが?んな事ないわよ。」 「ああ、旦那を吹っ飛ばすのは、リナしかしていないだろうが。」 「この間の話だぞ?」 「・・・ねえ、ちなみに、ハルてなあに?」 「久々のはずだが?」 意味不明で、理解不能なガウリイの言葉に、リナとゼルは一瞬視線をからませ、頷き合い、ガウリイを見る。 「へ?何て、石だよ。そこらに落ちている様な。川辺に落ちてても区別つかない石。その中から、ゼルが見付けたじゃないか?惚れ込んだ奴を見間違わないて言ってさ。」 『爆裂陣!』 声をハモらせ、リナとゼルは力ある言葉を解き放した。 吹き上げられた石のつぶてに、ガウリイは空高く舞い上がり、暫しの内に、地面に人型の穴を作った。 「ふ・・・虚しい会話だったわ。」 「そうか、これは夢なんだな?」 遠い目をし呟いたリナ、そして、悟った顔をしたゼルの間に、乾いた風が過ぎ去る。 「残念ね、素敵に現実★よ、ゼル。」 「しまった?!危険物を落ち着かせてから、仕留めるべきだったか・・・」 笑みを黒くしたリナに、ゼルは弾かれた様に、穴に視線を送る。 「ふふふふふ。」 「ま・・・待て、一体、何を怒っている?!」 「はん?!あんたが、訳の分からない格好で、人様の夢に現れて、バカップルぶりを振り撒いた所為で、あたしの安眠を邪魔されたから、そのはらいせに来たに決ってんでしょ?!」 「ちょっと待てーーーー?!じゃあ、何か、んな俺に責任のない所で、責められているのか、俺は?!」 胸を張り言ったリナに、ゼルはコメカミを引き攣らせる。 「うん。」 「あっさり、頷くな!」 「あら、知らないの、ゼル?昔の知り合いが夢に出て来た時は、その人が、自分に会いたいとか、今何してんのかとか、気にしてる時なんですって。」 「悪いが、最近は調べ物で忙しくてな。あんたらの事を思い出す暇さえなかったが?」 「んなのは、いいのよ。あたしの気が済めば。」 「・・・そういう物騒な物は、自称保護者殿で発散してくれ。」 「・・・そっか。あー、無駄足だったわー。」 「にしても、よく俺の居場所が分かったな?」 なんとか危険を回避し、ゼルは疲れた顔して、リナを見る。 「あー、ゼフィーリア商店組合の情報網使えば、軽いもんよ。そしたら、存外近くに居たでしょ?もう、これは、ゼルに制裁をあたえるべきだ、ていう神託だー、て思って、で来た訳v」 「んな神託あるか・・・」 「てへ☆」 「かわい娘ぶるな。」 「あ、そうだ。んね、勝手に人の夢に出たんだから、お詫びとして、夕飯奢ってくれんでしょ?」 「・・・今、持ち併せが少ない、今度な。」 「よっしゃあ!忘れたとは言わせないからね?」 「ああ。じゃあな。」 軽く手を挙げ、ゼルはその場を去った。 その後、足早に町を離れた事は言うまでもないだろう。 「2人を一度に突っ込めるか。」 それが、彼の残した言葉だった。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 一発書き、バンザーイv あはははは、苦労人ゼルの苦難・・・ うん、ファンの方すみません かっくいーゼル、書いてみたいですね |