ゼルガディス=グレイワーズの気苦労

とうとう、オチです。
ゼルの悲劇(喜劇と読んでも可)話です。
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「さ、行くわよ。」
宿の食堂で、朝食を終えて、リナはすく!とその場に立ち上がる。
「えっと・・・わりい、どこに行くんだ?」
頬を掻き、ガウリイはすまなさそうな顔をする。
「いいから!あんたは何も考えずについてくりゃいいのよ!」
「え・・・と、遠回しなプロポーズか?」
「殴るわよ?」
「・・・お見事な回し蹴りで・・・」
瞬殺し、冷徹に言ったリナを、ガウリイは床に寝転がりながら、冷や汗を流し、見る。
「・・・で、どこ行くんだ?・・・えっと、オレ、聞いてないよな?」
街道を颯爽と歩くリナの後をついて、ガウリイは自信なさそうに声を掛ける。
「ゼルの所よ。」
「何だって急に?それに、何処に居るんだ?」
「ふ・・・このあたし、天才美少女魔導士リナ・インバースにぬかりはないわ。」
「????」
問いに返ってきた言葉に、ガウリイは首を傾げる。
そして、昼頃、2人は小さな町へと辿り着いた。
「ひさしぶりねえ、ゼルにゃん」
「・・・頭でも、打ったか、リナよ。」
裏道で捕獲されたゼルは、恐い程にこやかなリナを見て、後退りをする。
「ふふふふふ、気にしないで、ウサギさん★」
「無理だ・・・旦那、この危険物、なんとかしてくれ。」
笑顔を黒くしたリナに突っ込みは危険だ、と判断したゼルは、なにやらぽーとしているガウリイに助けを求める。
「ん〜〜〜?おお!」
「まさか、俺が分からんかった、とか言うんじゃあるまい?」
ぽん!と手を打ったガウリイに、ゼルはジト目を向ける。
その視界の隅では、リナが気味悪く笑い続けている。
「なあ、ハル、いないのか?」
「・・・・・・は?」
「ハルだよ、ハル、ゼル大切そうにしてただろ?」
「いや、身に覚えがないが・・・」
にこやかに笑うガウリイに、ゼルは眉を寄せる。
「・・・珍しいわね、あんたが人の名前、覚えてるなんて?」
珍しい出来事に、リナは暗黒オーラを薄める。
「にしてもさ、ハルのどこが良かったんだ?オレにはさっぱりだったんだが。」
「俺には、あんたがさっぱりだが・・・」
「何?2人の知り合いじゃないの?」
ガウリイの言葉に首を傾げたゼルに、リナは眉をしかめる。
「へ?リナ、覚えていないのか?」
「は?覚えていないのか?て、知らないわよ、んな奴。」
「俺も知らんぞ。」
ガウリイの言葉に、リナとゼルは首を傾げる。
「だから、ハルだよ。オレが川辺で投げたら、2人して怒っただろ?」
「え・・・ゼル、覚えてる?」
「いや。それは、何時の話だ、ガウリイ。」
「おいおい、オレを2人して、魔法で吹っ飛ばしたて〜のに、忘れたのか?」
「はあ?あたしと、ゼルが?んな事ないわよ。」
「ああ、旦那を吹っ飛ばすのは、リナしかしていないだろうが。」
「この間の話だぞ?」
「・・・ねえ、ちなみに、ハルてなあに?」
「久々のはずだが?」
意味不明で、理解不能なガウリイの言葉に、リナとゼルは一瞬視線をからませ、頷き合い、ガウリイを見る。
「へ?何て、石だよ。そこらに落ちている様な。川辺に落ちてても区別つかない石。その中から、ゼルが見付けたじゃないか?惚れ込んだ奴を見間違わないて言ってさ。」
『爆裂陣!』
声をハモらせ、リナとゼルは力ある言葉を解き放した。
吹き上げられた石のつぶてに、ガウリイは空高く舞い上がり、暫しの内に、地面に人型の穴を作った。
「ふ・・・虚しい会話だったわ。」
「そうか、これは夢なんだな?」
遠い目をし呟いたリナ、そして、悟った顔をしたゼルの間に、乾いた風が過ぎ去る。
「残念ね、素敵に現実★よ、ゼル。」
「しまった?!危険物を落ち着かせてから、仕留めるべきだったか・・・」
笑みを黒くしたリナに、ゼルは弾かれた様に、穴に視線を送る。
「ふふふふふ。」
「ま・・・待て、一体、何を怒っている?!」
「はん?!あんたが、訳の分からない格好で、人様の夢に現れて、バカップルぶりを振り撒いた所為で、あたしの安眠を邪魔されたから、そのはらいせに来たに決ってんでしょ?!」
「ちょっと待てーーーー?!じゃあ、何か、んな俺に責任のない所で、責められているのか、俺は?!」
胸を張り言ったリナに、ゼルはコメカミを引き攣らせる。
「うん。」
「あっさり、頷くな!」
「あら、知らないの、ゼル?昔の知り合いが夢に出て来た時は、その人が、自分に会いたいとか、今何してんのかとか、気にしてる時なんですって。」
「悪いが、最近は調べ物で忙しくてな。あんたらの事を思い出す暇さえなかったが?」
「んなのは、いいのよ。あたしの気が済めば。」
「・・・そういう物騒な物は、自称保護者殿で発散してくれ。」
「・・・そっか。あー、無駄足だったわー。」
「にしても、よく俺の居場所が分かったな?」
なんとか危険を回避し、ゼルは疲れた顔して、リナを見る。
「あー、ゼフィーリア商店組合の情報網使えば、軽いもんよ。そしたら、存外近くに居たでしょ?もう、これは、ゼルに制裁をあたえるべきだ、ていう神託だー、て思って、で来た訳v」
「んな神託あるか・・・」
「てへ☆」
「かわい娘ぶるな。」
「あ、そうだ。んね、勝手に人の夢に出たんだから、お詫びとして、夕飯奢ってくれんでしょ?」
「・・・今、持ち併せが少ない、今度な。」
「よっしゃあ!忘れたとは言わせないからね?」
「ああ。じゃあな。」
軽く手を挙げ、ゼルはその場を去った。
その後、足早に町を離れた事は言うまでもないだろう。
「2人を一度に突っ込めるか。」
それが、彼の残した言葉だった。
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一発書き、バンザーイv
あはははは、苦労人ゼルの苦難・・・
うん、ファンの方すみません
かっくいーゼル、書いてみたいですね