【ダンジョンクエスト】−2− |
「こっちはダメだ・・・そっちはどうだ?」 「無理、何も無い。て事は・・・この道しか無いようね。」 壁やら床を調べ終えたルークの言葉に、首を振ったリナは溜め息をつき、自分達の居る空間から延びた道を見据える。 「ちっ、石の所為で魔法で道を作る事も出来ないし・・・この岩の向こうに愛しのミリーナが・・・」 「あ〜、はいはい、せいぜい死んだと思われて見捨てられて無い事を祈るわ。」 言って、自分達を分断した大きな岩を撫でるルークに、リナは溜め息を吐いた。 「ミリーナは、んな冷たくねぇ!そっちこそ、あのアホ顔に見限られて無い事心配したらどうだ!」 「それならそれでいいわ。まあ、せめてお別れの挨拶くらいして欲しいとは思うけどね・・・」 岩を睨み付けながら言ったルークに、リナは事も無げにそう言って歩き出す。 それを慌ててルークが追う。 「いいのかよ。相棒に見限られてもよ?」 「まあね、あのさ、何であたしが魔族に詳しいか、分かる?」 「魔族ヲタクだから・・・とか。」 「う゛わ・・・それだけはカンベンしてよ。ちょっとね、ここ一年と数ヶ月ほぼ魔族と関わってたのよ。」 「んなあっさりカミングアウトされても・・・反応に困るんだがな・・・」 「まあ、その所為でさ、あいつ怪我は絶えなかったし、家宝なんかも無くなったりして・・・はっきり言って何で一緒に旅してんだろ・・・て思う訳よ。」 「ふ〜ん。そうとうなモノ好きなんだな、あのボケ頭。」 「何?あんたも人の名前覚えられないの?」 小馬鹿にした様に笑い、リナはルークを見る。 「あ゛あ?単に馴れ合いたく無いだけだ。」 「ふ〜ん?でも、あんたが、ガウリイと2人っきりでここに入ってたら大変だったでしょうね。」 「けっ、あんたと居るよりはマシだがな?!」 「あいつを扱える?クラゲ頭でのほほんとしてて今一緊張感の無いあいつを・・・」 「う゛・・・」 「古代文字や魔導文字なんて勿論だけど、ヘタしたら五才児でも読める本も読めないわよ?」 「マジか・・・?アホだアホだとは思っていたが、ミリーナ、んな奴と一緒で疲れてたりしないだろうか ・・・」 リナの言葉にルークは今離れている大切な女性に思いを馳る。 ―――― 「よっ!と。足元気を付けろよ。」 「ありがとうございます。」 足元の不安定な山道を先に行き、ガウリイは後ろに居るミリーナに振り向いた。 「で、こっちでいいのか?」 「ええ、後は裏口に繋がっている所を探すだけです。」 「そうか、ミリーナが一緒で助かったよ。冷静で頭が良いからな。」 「どうも・・・」 「なあ、なんでルークと旅してるんだ?」 「良く・・・分かりません。ただ、放って置けない気がしたので・・・」 「ふ〜ん。ミリーナはリナと少し似ているな。」 「私が、リナさんと・・・ですか?」 ガウリイの言葉にミリーナは怪訝そうな顔付きをする。 それに対しガウリイは苦笑して首を縦にふり言う。 「ああ、照れ屋で不器用な優しさを持っている。違うか?」 「そうなんでしょうか?気が無いのにそばに置いている私が優しいだなんて・・・」 「本当に気が無いのか?放って置けない、て事は多少は気にしてるんだろ?」 「・・・どうなんでしょうか?」 「まあ、ミリーナの方がポーカーフェイス上手いけどな。リナは隠し切れない時があるだろ?」 「その点では、同感です。」 苦笑したガウリイに、ミリーナは小さく頷いた。 |
≪続く≫ |